親からお墓を受け継ぎ、承継者となった場合、今後の年忌法要を営んだり、お墓の管理・維持などを引き継ぐことになります。
また、墓地の「永代使用権」を引き継ぐことになるので「名義人」の変更手続きが必要です。
分からないことばかりで、何となく不安だな~と感じる方もいるかもしれませんが、一人で気負うことはありません。
私自身も20代で父を亡くし、母の次にお墓を承継する立場となりますが、母の姿を見て「周りに相談し、協力しながら大切なお墓と付き合っていければ良いんだな~」と感じました。
今回は、親から受け継いだお墓との付き合い方について、必要な手続きから相談窓口、お墓参りのマナーまでを、分かりやすく紹介していきたいと思います。
お墓の承継者が引き継ぐこと
親からお墓を受け継ぎ、お墓の承継者となった場合、次のようなことを引き継ぐことになります。
- 永代使用権の名義
- 墓地や墓石の管理、維持(お墓掃除・メンテナンス管理・追加彫刻等)
- 管理費の支払い(霊園・寺院墓地等)
- 故人・先祖の年忌法要を営む
- 檀家の立場(護持費の支払い・行事への参加等)
- 仏壇の管理、毎日のおつとめ
「永代使用権」とは、“永代にわたってお墓の区画を使用する権利”のことを指します。
「墓地は個人所有じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では墓地の個人所有は認められていません。
なので、名義人が亡くなったら「名義変更」を行うことが、代々お墓を受け継いでいく上では欠かせい手続きなのです。
必要な書類や手続きは、管理者によって異なるので、分からないことは気軽に問い合わせてみましょう。
問い合わせ先は、霊園の種類によって異なります。
- 「寺院墓地」・・・寺院のご住職
- 「民営霊園」・・・業務を委託された民間会社・宗教法人
- 「公営霊園」・・・役所や地域自治センター
昔からある「共同墓地(地区墓地)」は、古くからその地域で自然発生的にできた墓地のことを言います。
「共同墓地(地区墓地)」の場合は、地域によって昔からあるやり方が存在している可能性があるので、分からない場合は同じ墓地にお墓のある年長者や、自治会長さんに確認するのが適切だと言えそうです。
様々な相談窓口
お墓について分からないことは、身近な相談者・相談窓口に相談することをおすすめします。
主な相談者・相談窓口は次の通りです。
- 既にお墓を承継している方や、お墓を建てた方
- 親族の年長者など
- 寺院のご住職
- 自治体で開催されるお墓相談会
- 石材店
- 葬儀場
自治体によっては、「お墓の管理相談会」「お墓相談会」を実施している場所もあります。
広報などを確認し、積極的に活用すると良さそうですね。
お墓参りの時期は?
多くの場合、お墓参りに行く時期としては、次のような日が挙げられます。
- 春秋のお彼岸
- お盆
- 故人の命日
- 年忌法要の際
- 年の暮れやお正月(地域差あり)
お彼岸は真西に極楽浄土があるという仏教の考えから、ご先祖様を偲び、お墓参りをする日となりました。
太陽が真東から昇り、真西へと一直線に沈む春分の日・秋分の日は、この世(此岸)とあの世(彼岸)が最も通じやすい日と考えられているそうです。
お盆は、故人やご先祖様の霊を家に迎えて供養する、1年に1度の夏の行事です。
8月13日(迎え盆)に迎え火を焚いてお迎えし、16日(送り盆)に送り火を焚いて再び浄土へお送りするので、13日と16日にお墓参りをします。(地域により異なる)
加えてご先祖様へ感謝の気持ちを伝えるため、自分自身と向き合うため、様々な人生の節目の報告を兼ねて、できる限りお参りできるといいですね。
お墓参りの作法やマナー
基本的に、お墓参りに特別な作法やマナーはありませんが、心得や手順として覚えておいたほうが良いことはあるので確認していきましょう。
服装(年忌法要を除く)
派手な色やスタイルは避け、色味や露出を抑えた服装が好ましいです。
屋外であることや、お墓の造りによってはしゃがんだり、かかんだりすることも考慮した上での身支度をするように心掛けましょう。
持ち物
- 生花
- お線香
- マッチ・ライター(風よけ付きのものが好ましい)
- 手桶・柄杓(寺院や霊園は貸し出し用で置いてある場所もある)
- 食べ物のお供え物・置くための半紙
- 数珠
- 花切りばさみ
- 水
- 掃除用具(ほうき・タオル・軍手・バケツなど)
- ごみ袋
- ろうそく(地域による)
お参りの手順
- 合掌礼拝
- お墓掃除
- 生花を飾る
- 水鉢へ水をお供えする(お石塔へかけてお供えする場合もある)
- お供えものを半紙の上へ置いて供える
- 線香に火をつけ線香皿へ横へ寝かすか、香炉に立てて供える
- 魂が込められているお石塔へ向かい合掌礼拝
- 全員が済んだら生花、お線香以外のお供えものはその場でいただくか持ち帰る
- 後始末をする(お線香の火の確認)
幾つか気を付けるべき場面があるので紹介していきます。
- 寺院墓地の場合は、お墓参りの前に本堂のご本尊をお参りし、ご住職に挨拶をする
- お線香の火は口で「ふーっ」っと吹き消すのではなく、手であおいで消す(悪行を積みやすく、汚れやすいとされる人間の口から吐いた息で吹き消すことは、仏様にお供えするには無作法)
- お線香を寝かせる際は、火のついた方が左側
- お参りは、故人と縁の深い人から順番に
合掌の際は、故人の冥福を祈るとともに感謝の気持ちや報告したいことなどを心の内で伝えたり、短い題目を唱えてお参りしましょう。
気持ちの良いお墓参りを続けていくために
気持ちの良いお墓参りを続けていくためには、お墓掃除だけでなく、定期的なお墓のメンテナンスは欠かせません。
普段のお手入れだけでは防げない経年劣化や汚れの蓄積で、修理やクリーニングの他、リフォームが必要になるケースも考えられます。
お墓が木の下であったり、汚れを放置する等、状況によってはそのスピードが速まることを覚えておきましょう。
お墓をきれいで良好な状態に保つことは、清々しい気持ちでお参りできるだけでなく、大切なお墓参りの文化を次世代へ受け継いでいくことへも繋がります。
大切な場所であるからこそ、定期的に必要な管理を怠らないように心掛けたいですね。
さいごに
今回は、親から受け継いだお墓との付き合い方についてご紹介しました。
私も20代で父を亡くしているので、母と一緒に一通りの手続きを経験し、定期的なお墓参りも欠かさず行っています。
そして私自身、母の次にお墓を承継する立場となりますが、母を見ていてこのように感じました。
一人で気負うことなく、周りに相談し、協力しながら大切なお墓と付き合っていければ良いんだな~
と。
分からないことや不安に感じることは、家族や、様々な相談者・相談窓口へ相談しながら、大切なお墓と付き合っていけると良いですね。
これだけ知っておけば大丈夫!【お盆の知識】に関する記事はこちら↓