先日、信号機のない小さな交差点で「軽乗用車」と「軽トラック」の正面衝突の交通事故現場に遭遇しました。
車から降り状況を確認したところ、すでに3人の方が対応に当たってくださっていたのですが、まだ何もしていない状況でした。
どうやら、事故にあった当事者たちが「大丈夫、救急車は呼ばなくてもいい」と言っているとのことでしたが、当事者2人の内、一人は胸の痛みを訴え、もう一人は手や顔を負傷し出血(擦過傷)までしています。
どちらの車もフロントガラスが大破している程の大きな事故にも関わらず、救急車を呼ぶことをためらっていたので、何とか説得し手配しました。
「強い衝撃を受けて、車も動かないし負傷もしているのに、当事者も救助者もなぜ救急車を呼ぶことをためらうのだろう?」と感じた出来事だったので、今回私が救急車を呼ぶ判断をした目安をまとめてみました。
本当に救急要請して良いのかと、悩んだ際の相談先もあるのでご紹介します。
事故現場に遭遇した際の参考になれば幸いです。
事故現場で救助者になった時の詳しい状況
今回私が遭遇したのは、信号機のない小さな交差点での、「軽乗用車」と「軽トラック」の正面衝突の事故でした。
「止まれ」の標識があったので、どちらかが一時停止をしなかったことで起きた事故だと思います。
2台とも、フロントガラスは大破。
軽トラック運転席側のドアはゆがんでしまって、中から何とか出てきたという感じでした。
両者ともケガや体の痛みを訴えているにも関わらず、「救急車は呼ばなくていい」と言っているとのことでした。
「軽乗用車」の当事者の様子
50代くらいの女性でした。
私が行ったときは、立ってうろうろしながら誰かと電話をし、とても動揺している様子でした。
意識ははっきりしていますが、胸を打ったようで、ずっと胸の辺りを押さえて苦しそうな表情をしています。
「胸を打ったんですか?傷みますか?」と聞くと、「はい、少し痛いです。」と答えました。
とても動揺している様子が伺えました。
「電話の相手は、警察ですか?」と伺いましたが、どうやら家族に電話をかけているようでした。
電話の内容までは分かりませんが、動揺からかずーっとしゃべりっぱなしの様子でした。
「軽トラック」の当事者の様子
70代くらいの男性でした。
手と顔から出血(擦過傷)していて、痛みがあるのか両手を前に出したまま、どうしたものかという感じでうろうろしていました。
ハンドルを握った状態でフロントガラスにぶつかっってできたような傷でした。
止血が必要なほどの傷ではありませんでしたが、ガラスが刺さっているかなどまでは確認できませんでした。
運転席側のドアを何とか開けて自分で出てきたそうです。
何もしゃべらずうろうろしていましたが、声を掛ければ「大丈夫」「救急車は呼ばなくていい」と静かな声で返答するような感じでした。
携帯電話は持参していなかったようで、救助者の一人が自宅の電話番号を聞いていましたが、出てこなかったのか答えられていませんでした。
先に対応して下さっていた救助者3人の様子
1人は、二次被害が起きないよう、車の誘導をして下さっていました。
もう2人は、出血している方に声を掛けたり対応して下さっていました。
私は携帯電話を持って、「ケガをしていますが救急車は呼びましたか?」と声を掛けると、「救急車は呼ばなくていいと言っています」と返答されました。
私がパトカーと救急車を、呼んだ時の様子
結局、私がパトカーと救急車を呼んだのですが、その時の詳しい様子をお伝えします。
ケガをされているので救急車呼びますね。
でも、呼ばなくていいと言っていますよ。
でも出血されてますし、そちらの方は胸の痛みを訴えているので、病院で診てもらった方がいいと思います。
でも、救急車を呼ぶほどのケガじゃないって言っているし、、、
じゃあ、先に警察に連絡するので、どのようにすればよいか確認するのはどうですか?
それならいいのではないでしょうか、、、
このような感じで、意識もあり重傷ではないからか、当事者はもちろん救助者も救急車を呼ぶことをためらう様子が伺えました。
私は、警察に電話をし、やりとりの中で次のことを伝えました。
- 事故現場の場所
- 事故現場の大体の状況(車の状態)
- ケガの様子
- 私の名前
すると警察の方に電話口で、「ケガをしているようでしたら、救急車を呼んでください」と促されました。
ケガをされているようでしたら、救急車を呼んで下さいとのことでした。
それならいいのではないでしょうか。ただ、私の判断ではないですからね。
私が電話するので大丈夫です。
痛みは後になって出てくる場合がほとんどですし、救急隊員の方が、当事者同意のもと搬送の必要がないと判断したら、キャンセルすることもできるので呼びますね。
といった流れで、救急車を呼んだという状況でした。
当事者たちも、うなずいたり、「お願いします」と静かに返事をして、同意されていました。
ちなみに、私は一度救急車をキャンセルした経験があります。
搬送の必要がなくなったと当事者(子どもの場合は保護者)と、救急隊員が判断した場合、同意書にサインをしてキャンセルすることができます。
ケガの程度によって救急車を呼ぶのをためらいがち?救急車を呼ぶ目安は?
交通事故現場では、ケガの程度により明らかに救急車が必要な場合もあれば、呼ぶべきかどうか分からないといった場合もあると思います。
今回の場合も、2人とも意識ははっきりしていて、「救急車は呼ばなくていい」と頼まれてしまったのも、ためらう要因になってしまったかもしれません。
しかし、居合わせた第三者は客観的に見て救急車を呼ぶ判断をする必要があると思います。
そもそもですが、政府広報オンラインの公式サイト「もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいいの?」の「救急車が必要なのはどんなとき?」に、「交通事故にあった(強い衝撃を受けた)」が含まれています。
私は今回、次の3つを基準にして救急車を呼びました。
- ケガの程度はどうか(出血や、痛みを訴えている場所などがあるか等)
- 車の破損の程度はどうか(強い衝撃だったか)
- 自力で事故対応できる状況か(実況見分~レッカー車の手配)
今回の事故の場合は、、、↓
- 出血や胸の痛みあり
- 2台とも、車のフロントガラスが大破。軽トラは運転席側の扉の半分も開かない状態
- 自力での事故対応は無理と判断(ケガをしている為)
様々な意見が飛び交い、判断に悩んでしまうかもしれませんが、上記3つを目安にして必要な場合は救急車の手配をしましょう。
パトカーと、救急車が到着したら、後は引き継ぎすぐに帰ることができました。
それでも救急車を呼んで良いか悩んだら「救急安心センター事業(#7119)」へ電話!
それでも救急車を呼んで良いか判断に悩んだら、「救急安心センター事業(#7119)」へ電話をしましょう。
「#7119」へ電話すると、電話口で看護師や相談員がケガの症状を聞いて適切な指示を仰いでくださいます。
救急車を呼ぶ判断もしてくれるので、「本当に救急車を呼んで良いのか?」という不安もなくなり、当事者や他の救助者の同意も求めやすくなりますね。
事故にあった時の気持ちの状態とは?痛みを感じにくい?
事故にあった直後は、突然のことに気持ちが動揺し、興奮状態にあることから、痛みを感じにくい場合があるそうです。
私も事故にあったことがありますが、事故直後は足が少し痛む程度だったのが、翌日倍以上に腫れ、痛みを伴い、足を引きずらないと歩けない程の時がありました。
翌日の診察の結果「捻挫」ということでしたが、自分では大丈夫だと思っていたり自覚症状がなくても、事故にあった際は数日以内に必ず病院へかかり診断書をもらうようにしましょう。
診断書は保険会社からの治療費支払いの際にも必要になります。
交通事故が起きた際、警察に連絡することが義務づけられています
交通事故が起きた際は、事故の規模に関わらず、110番通報する義務があります。(道路交通法第72条)
実況見分をし、交通事故証明書を発行してもらい、保険金請求などの際に提示します。
「交通事故証明書」を詳しく
「交通事故証明書」とは、交通事故の事実を証明する公的文書です。
自動車安全運転センターのサイトにこのように記載されています。
交通事故証明書は、交通事故の事実を確認したことを証明するものです。
自動車安全運転センター法の定めるところにより、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、交通事故の当事者が適正な補償を受けられるよう、その求めに応じて、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明する書面として交付するものです。
この証明書は、交通事故に遭われた方の財産や権利を守るための重要な書類です。交通事故に遭われたときは、必ず警察に届出をして、後日、交通事故証明書の交付を受けるようにしてください。
なお、申込みのできる方は、交通事故の当事者(加害者・被害者)又は当事者の委任を受けた方です。
※引用元:自動車安全運転センターホームページより
また、次のような場面で提示の必要があります。
- 自賠責保険の請求
- 任意保険の請求
- 労災保険申請の際
- 損害賠償請求訴訟をする際
任意保険を利用する際は、加入している保険会社が申請手続きをする場合がほとんどのようですが、申請は、各都道府県の「自動車運転安全センター」窓口で申請できるそうです。
レッカー移動は誰が手配するの?
警察の方は実況見分をしたら基本的には帰ってしまうので、レッカー移動の手配はご自身で行います。
任意の保険会社に加入している場合は、保険会社に直接電話をするか、指定された受付窓口へ電話すればOKです。
なので、電話番号は次のような方法で必ず控えておきましょう。
- 携帯電話の電話帳に登録しておく
- 保険会社の連絡先を車に入れておく
しかし、今回のように事故当事者が負傷している場合や、交通の妨げになる場合などは警察の方がレッカーの手配を行う場合もあるそうです。
さいごに
今回のように交通事故現場では、救急車を呼ぶべきかどうか分からないといった場合もあると思います。
当事者がケガをされていても、意識があり「救急車は呼ばなくていい」と頼まれてしまったら、余計に判断に悩んでしまいますよね。
しかし、政府広報オンラインの公式サイト「もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいいの?」の「救急車が必要なのはどんなとき?」に、「交通事故にあった(強い衝撃を受けた)」は含まれています。
基本的に強い衝撃を受けて、体の痛みを訴えていたり、明らかにケガをされている場合は救急車を呼んで問題ありません。
それでも悩んだ場合は、「救急安心センター事業(#7119)」へ電話をかけて指示を受けたり、先に警察に連絡するのも一つの方法だと思います。
参考になれば幸いです。