「改葬」とは、現在お墓や納骨堂に納められた遺骨を、他のお墓や納骨堂に移すことです。
改葬の手続きは「墓地、埋葬等に関する法律」で定められていて、遺骨を移すには、現在お墓がある市区町村で発行される「改葬許可証」が必要となります。
でも、「改葬許可証」ってどうやって発行してもらうんだろう?と戸惑われる方も多いですよね。
「改葬許可証」を発行してもらうには、「改葬許可申請書」の提出が必要なんですよ。
今回は、改葬の流れ、必要な手続き、費用がかかる主な項目等について詳しく解説していきたいと思います。
「改葬」手続きの流れ

改葬を行うには、いくつかの正式な手続きを踏む必要があります。
改葬の手続きは「墓地、埋葬等に関する法律」で定められていて、遺骨を移すには、現在お墓がある市区町村で発行される「改葬許可証」が必要です。
「改葬手続き」の、大まかな流れは次の6ステップです。
- 改葬先を決め、新しい墓地の契約手続きを行う
- 「改葬許可申請書」をもらう(市区町村の役所)
- 現在のお墓の管理者に、「改葬許可申請書」への署名をいただく
- 「改葬許可申請書」を役所に提出し、「改葬許可証」を発行してもらう
- 遺骨の取り出し(掘り出し)と移送・墓じまい
- 移転先の墓地に建立したお墓や永代供養墓等に納骨
以下にわかりやすくまとめました。
① 改葬先を決め、新しい墓地の契約手続きを行う
- まず、新しく遺骨を納める霊園や納骨堂、永代供養墓や樹木葬等を決めておく必要があります。
- 地域や宗教、宗派によって受け入れ可能な墓地が異なりますので、事前に相談をして決めておくと良いです。
- 新しい墓地の契約手続きを行い、「受入証明書」(又は、永代許可申請書、墓地権利証など)の受け入れを証明する書類を発行してもらいましょう。
② 「改葬許可申請書」をもらう(市区町村の役所)
- 現在遺骨がある場所の市区町村役所(例:●●市役所)で「改葬許可申請書」を入手します。※市民課
- 改葬を行う遺骨1人分につき1枚、申請書の提出が必要です。※遺骨の一部を移す分骨については、市区町村の許可は必要ない場合が多い為、墓地の管理者へ問い合わせる。
- 多くの場合、役所のホームページからダウンロードできます。
③ 現在のお墓の管理者に、「改葬許可申請書」への署名をいただく
- 現在の墓地・寺院の管理者(住職など)に、「改葬許可申請書」へ署名していただく。
- 永代使用権は返上となる。
- 現在のお墓に遺骨が納められていることを証明する「埋蔵証明書」は、必要に応じて発行してもらいましょう。
④ 「改葬許可申請書」を役所に提出し、「改葬許可証」を発行してもらう
- 必要事項をすべて記入し、「受入証明書のコピー」・「改葬許可申請書」を役所に提出します。※市民課
- 現在のお墓に遺骨が納められていることを証明する「埋蔵証明書」は、必要に応じて発行してもらいましょう。
- 書類に不備がなければ「改葬許可証」が発行されます。
⑤ 遺骨の取り出し(掘り出し)と移送・墓じまい
- 「改葬許可証」を移転元の管理者・施工業者へ提示し、遺骨を現在のお墓から取り出します。
- 遺骨を取り出す前にご住職に依頼し、閉眼法要(魂抜き)を行いましょう。
- 遺骨の取り出しは、専門業者や石材店が対応します。予め打ち合わせを進めておく必要があります。
- 古いお墓は、解体・撤去作業を行い墓じまいをします。※基本的には更地にする
⑥ 移転先の墓地に建立したお墓や永代供養墓等に納骨
- 移転先の墓地に建立したお墓・永代供養墓や樹木葬等に納骨するため、改葬先の管理者に「改葬許可証」を提示し、遺骨を納めます。
- 新しいお墓では、ご住職に依頼し開眼法要や納骨式を行う場合もあります。
- 「改葬許可証」はご自身で大切に保管しておきます。
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主な改葬の理由

お墓を改葬(引っ越し)する理由は、主に以下のような事情によるものです。
現代ならではの生活環境や価値観の変化も背景にあります。
①お墓の場所が遠すぎる
- 実家の遠方にあるお墓を、現在住んでいる地域の近くに移すケース。
- また、高齢の親や自分が管理・お参りしやすい場所にしたいという思いから。
②お墓の後継者がいない
- 子どもがいない、またはお墓を継ぐ予定の人がいない場合、永代供養墓や合葬墓・樹木葬へ移す。
③宗教・宗派の変更
- 結婚や改宗などにより、自分の信仰に合うお寺や墓地へ移したいという場合。
④家族や親族の希望
- 離れていた遺骨を同じ場所にまとめて供養したい。(合祀)
- 親族の意向で他の場所に移したいといったケース。
- 家族の希望で永代供養墓や樹木葬などへの変更を希望するケース。
改葬は“ネガティブな行為”ではなく、現代的なお墓のあり方の一つです。
家族や親族とよく相談し、無理のない形を選ぶことが大切です。
改葬で費用がかかる主な項目

改葬をする際には、複数のポイントで費用が発生します。
① 墓石の撤去・墓地の原状回復
- 現在のお墓を解体し、更地に戻すための費用。
- 墓地の大きさや立地、墓石の規模によって異なる。
② 遺骨の取り出し・洗骨・骨壺の入れ替え
- 遺骨を取り出す作業や、必要に応じて洗骨、新しい骨壺への交換が発生することも。
③ 閉眼供養(魂抜き)にかかる費用
- 寺院墓地では、遺骨を取り出す前に「魂抜き」の儀式を行うのが一般的。
- 住職へのお布施が必要。
④ 改葬手続きに関する費用
- 「改葬許可申請書」の提出、書類の取り寄せ、郵送などの手続きに関する費用。
⑤ 改葬先(新しい納骨場所)にかかる費用
- 永代供養墓、納骨堂、樹木葬などに遺骨を納めるための費用。
- 墓石を新たに建てる場合はさらに費用がかかる。
⑥ 開眼供養(魂入れ)や納骨式の費用
- 改葬先で納骨する際に、魂を迎える儀式を行う場合がある。
- 寺院等での儀式にはお布施が必要。
⑦ その他:交通費・業者への依頼費・骨壺代など
- 墓地への移動、手続きの代行依頼、骨壺・包装材などの細かい費用も発生することがある。
改葬の費用は、墓地の場所や手続きの方法、業者の選択によって異なるため、事前に複数の業者へ相談・見積りの依頼をするのが良いかもしれません。
改葬「お墓の引っ越し」まとめ

「改葬」は慎重に進めるべき重要な手続きですが、専門業者や石材店、各種相談窓口を利用することで、スムーズに行うことができます。
手続きを進める前に、元の墓地の管理者や市区町村役所、新しい墓地の管理者としっかりコミュニケーションを取ることが大切です。
また、費用や必要書類を事前に確認して準備を整えておくと、改葬が円滑に進みますよ。
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