お弁当に持たせる夏場のおにぎりは何で包むのがいいのか、最高気温27℃の夏日に検証実験を行ってみました。
おにぎりを包むのに使用した材質は、適度に通気性を確保できる「ポリエチレンラップ」「アルミホイル」「蜜蝋ラップ」の3種類をピックアップ!
検証の結果、お弁当に持たせる夏場のおにぎりを包むのにおすすめするのは「ポリエチレンラップ」と「アルミホイル」です。
「ポリエチレンラップ」とは、よくくっつく密着度の高いサランラップやクレラップではなく、いわゆる「安くてくっつきにくいラップ」です。
この記事では検証結果を基に、夏場のおにぎりは何で包むのがいいのか、どのような状況下で保管するのがいいのか、そして「蜜蝋ラップ」をおすすめに含めなかった理由などについて、詳しく紹介していきたいと思います。
お弁当に持たせる夏場のおにぎりは何で包むのがいい?
お弁当に持たせる夏場のおにぎりを包むのにおすすめするのは、適度に通気性を確保できる「ポリエチレンラップ」と「アルミホイル」です。
プラス、「高温多湿を抑えた状況」であることが大切です。
「高温多湿を抑えた状況」とは、おにぎりを冷ましてから包み、保冷剤・保冷バッグを使用、日陰で保管、を意識することで作ります。
今回の検証実験では「ポリエチレンラップ」「アルミホイル」「蜜蝋ラップ」の3種類を使用しました。
どの材質を使用してもおにぎりを包んだ際、適度に隙間ができ、ポリエチレンラップと蜜蝋ラップに至っては材質自体に通気性があることが特徴です。
密着度の高いサランラップやクレラップは、おにぎりの通気性を確保できず、“お弁当に持たせる夏場のおにぎり”を包むのには適さないので、検証実験には含めませんでした。
それではなぜ「蜜蝋ラップ」をおすすめに含めなっかたのか?
それは、直接口に入るおにぎりを包むので、夏場に関しては、使い捨てできる材質の方が衛生的だからです。
洗って繰り返し使えるのが魅力の蜜蝋ラップですが、食中毒の原因菌は目に見えないので、避けられるリスクは避けた方が無難ですね。
検証実験の詳しい内容
それでは検証実験の詳しい内容の説明です。
3種類の材質で包んだおにぎりを、2つの状況下で5時間・9時間・12時間・24時間ごとに確認し、おにぎりの状態を記録していきました。
- 熱々のご飯のまま包む
- 保冷剤なし(常温)
- 直射日光の当たる場所で保管
- おにぎりを冷ましてから包む
- 保冷剤あり(約40g×4個)
- 日陰で保管
おにぎりは、“梅干し入りの塩むすび”で統一しました!握り方はいつも、“優しく軽く”を意識しています。
そして、検証当日の気温がこちらです↓。
「高温」の条件を満たす、夏日でした。
検証実験の結果報告
ポリエチレンラップの検証結果
熱々のご飯のまま包んだおにぎりは、5時間後に確認した際、内側に蒸気がこもり水滴が多くついていました。
「高温多湿の状況」だったので心配しましたが、「やや温かく、ややしっとり」した食感で、問題なく食べることができました。
9時間後、12時間後までは、ご飯のにおいが強く感じる程度で味に変化はありませんでしたが、24時間後、「におい」に大きな変化が現れました。
鼻につく嫌な臭いに加え、酸っぱいにおいがしたのです。
明らかに傷んでいたので、食べることができず「測定不可」とさせていただきました。
おにぎりを冷ましてから包み、保冷剤を入れて保管した5時間後のおにぎりは、蒸気がこもることなく「やや冷たい、ご飯粒がしっかり」とした食感でした。
何より「お弁当に持たせる夏場のおにぎり」という状況の下、やや冷たいおにぎりは、「傷んでいない!」という絶対的な安心感がありました。
おにぎりを持たせる当日の気温が30℃を超える真夏日の場合などは、保冷剤の数を「約40g×5or6個」などに増やしても良いかもしれません。
「高温多湿を抑えた状況」でも、保冷材の持続時間は限られていますので、24時間後には「高温多湿の状況」と同様、おにぎりは傷んでしまっていました。
アルミホイルの検証結果
熱々のご飯のままアルミホイルに包みましたが、ポリエチレンラップや蜜蝋ラップより、内側についている水滴が少なかったです。
5時間後に食べた時の食感も、しっとりではなく、ご飯粒がしっかりと感じられました。
湿気の逃げる隙間が、他の2つの材質よりも確保できているのかもしれません。(アルミホイルを優しく、クシャクシャとシワを寄せてから包みました。)
ポリエチレンラップ同様、おにぎりを冷ましてから包み、保冷剤を入れて保管した5時間後のおにぎりは、蒸気がこもることなく「やや冷たい、ご飯粒がしっかり」とした食感でした。
「傷んでいない!」という、安心感を持って食べることができましたよ。
湿気の逃げる隙間が、他の2つの材質よりも確保できているかもしれないと感じたアルミホイルでも、24時間後には「におい」に変化が現れ、傷んでしまっていました。
蜜蝋ラップの検証結果
熱々のご飯のまま包んだおにぎりは、ポリエチレンラップ同様、5時間後に確認した際、内側に蒸気がこもり水滴が多くついていました。
こちらも「高温多湿の状況」だったので心配しましたが、「やや温かく、ややしっとり」した食感で、問題なく食べることができました。
気になった点として、蜜蝋ラップはもともと材質自体に多少のベタつきがあるのが特徴なのですが、気温の上昇に伴い、オイルが柔らくなり、よりベタつきが増す場合があるようなのです。
検証に参加した人の中にも、ベタつきが気になるという人もいました。
参考にしてみてください。
5時間を経過した時点では、他の材質で包んだおにぎり同様、「やや冷たい、ご飯粒がしっかり」した食感でした。
ただ、「高温多湿を抑えた状況」のおにぎりの中で、蜜蝋ラップだけが、9時間後に食べた際「ややしっとり」した食感になっていました。
続いて、「粘り気」と「におい」に関しての報告です。
「粘り気」に関しては判定の基準が難しかったのですが、時間の経過とともに、スプーンで広げたご飯を戻す際、材質にくっ付くご飯の量の多さで判断しました。
ご飯粒に少しだけ糸を引くのは、炊き立ての段階からずっとそうでした。この粘り気は、でんぷんの働きによるものなのだそうです!
「高温多湿の状況」のポリエチレンラップで包んだおにぎりが、24時間の時点で一番多く材質にくっ付いていました。
そして、「におい」に関しては、24時間経過した時点で、すべてのおにぎりに大きな変化がありました。
モアっとした、鼻につく嫌なにおいが…Σ(゚Д゚)
明らかに傷み始めているサインでしたので、食べることができず「測定不可」とさせていただきました。
おにぎりが傷んでしまったサインとしては、「におい」が一番分かりやすかったです。
今回の検証結果では、5時間程度の保管でしたら➀「高温多湿の状況」でも、においや味に大きな変化なく食べることができました。
しかし、夏場は菌が増殖する高温多湿の状況下。
お弁当に持たせるおにぎりを安心して食べてもらう為も、細心の注意を払い、②「高温多湿を抑えた状況」の「ポリエチレンラップ」と「アルミホイル」でおにぎりを包むことをおすすめします。
以上が検証実験の結果となります。
ポリエチレンラップ・アルミホイル・蜜蝋ラップの材質の違いと特徴
「おにぎりを包む」観点から、それぞれの材質の違いと特徴について一つずつ確認していきましょう。
項目/材質 | ポリエチレンラップ | アルミホイル | 蜜蝋ラップ |
---|---|---|---|
おにぎりとの密着度 | 中程度(ふんわり包むことで隙間ができる) | 低い(適度に隙間ができる) | 低い(適度に隙間ができる) |
添加物 | なし | なし | なし |
材質自体の通気性 | あり | なし | あり |
抗菌性 | なし | あり | あり(平均使用年数1年) |
耐熱 | 110℃(食品と触れなければレンジ可) | 300℃以上(レンジ不可) | 50℃~60℃(レンジ不可) |
遮光性 | なし | あり | なし |
引用元 | ポリラップ公式ホームページ・商品の品質表示 | 一般社団法人日本アルミニウム協会・商品の品質表示 | Wanna Bee エコラップの使い方・商品の品質表示 |
どの材質も添加物が入っていないので、直接口に入るおにぎりを包むときも安心感がありますね。(サランラップなど、塩素系食品用ラップには添加物が含まれます)
そして、どの材質もおにぎりを包んだ際、適度に隙間ができ、ポリエチレンラップと蜜蝋ラップに至っては材質自体に通気性があることが特徴です。
アルミホイルに関しては、抗菌性と遮光性があるのが、おにぎりを包む点では最大の魅力と言えそうです。
おにぎりを長時間保管するときの握り方で、気を付けること4選!
おにぎりをお弁当用に長時間保管するとき、衛生面を考慮して、握るときに気を付けることが4つあります。
- 手をよく洗い、ラップやビニール手袋をを使って握る
- 粗熱を取ってから握り、よく冷ましてから包む
- 塩分を使用+傷みにくい具材を選択する
- 海苔は巻かずに別に包む
一つずつ詳しく紹介していきたいと思います。
➀手をよく洗い、ラップやビニール手袋を使って握る
調理前の基本ですが、まずは石鹸で手をよく洗いましょう。(卵・魚介類・生肉を触った際は念入りに)
そして、手を洗った後は、タオルではなくキッチンペーパーで拭くのが理想です。
農林水産省の「食中毒の原因と種類」に関するサイトによると、食中毒を起こす菌はとても身近に存在するそうです。
人や動物の皮膚、鼻や口の中、出来てしまったキズやにきびなどに存在し、全く特別なものではありません。
おにぎりを握ってからすぐに食べる訳ではなく「菌を付けない・増やさない」ことを考えたら、素手ではなくラップやビニール手袋で握るのが衛生的だと言えそうです。
②粗熱を取ってから握り、よく冷ましてから包む
まずは、炊き立てご飯の粗熱を取りましょう。
ご飯を一度ボールに移し、塩を振って軽く混ぜほぐしながら粗熱を取ったら、ラップやビニール手袋を使って握っていきます。
この時に冷ましすぎると、握りずらくなってしまうので、軽く混ぜほぐしたら時間を置かずに握り始めてくださいね!
握ったおにぎりを包む際は、菌が増殖する「高温多湿」の条件を防ぐために、次のことに気を付けます。
- よく冷ましてから包む
- 包む際、湿気が逃げるよう隙間を作る
よく冷ましてから包まないと、蒸気がこもって内側に水滴がつき、傷んでしまう原因となるので注意が必要です。
ちなみに、おにぎりが冷めるのって、何分くらいが目安なの?
目安の時間としては、15分~20分程度です!
そんなに置くとおにぎりの表面が乾燥しない?
上からキッチンペーパーを被せると、表面の乾燥が防げますよ!
おにぎりが冷めたら、一つずつ包んでいくのですが、握る際に使用したラップは水分が残っているので、必ず新しいもので包み直すようにしましょう。
アルミホイルで包む場合は、少しシワを寄せた方が隙間を作ることができますよ。
③塩分を使用+傷みにくい具材を選択する
夏場のおにぎりに入れる具材のポイントとして、「塩分と、水分の少なさ」を押さえておきましょう。
傷みにくいおすすめの具材を幾つか紹介していきます。
- 梅干し
- 昆布
- 佃煮
- ご飯に混ぜ込むおにぎり用ふりかけ(若菜・わかめ・高菜・梅しそ・ゆかり等が塩分高めでおすすめ)
- 塩昆布などの乾物
特に梅干しは、塩分に加えクエン酸効果もあり、菌の増殖を抑制する効果が期待できるそうです。
塩むすびではなく、直接ご飯に混ぜ込んで使うふりかけ等は、塩分の高いものを選ぶようにしましょう。
反対に、傷みやすい具材も紹介していきます。
- ツナマヨ
- たらこや明太子
- 炊き込みご飯やチャーハン
基本的に、常温保存できない具材は避けましょう。
そして、具材ではありませんが、炊き込みご飯やチャーハンはとても傷みやすいということ覚えておいてください。
おにぎりやお弁当に入れるのは危険です。
④海苔は巻かずに別に包む
海苔をあらかじめおにぎりに巻いておくことは、ご飯の水分を海苔が吸ってしなってしまうだけでなく、傷む原因にも繋がります。
海苔だけ別に包んで直前に巻くことで、パリパリの状態のままおにぎりを食べることができますよ。
こちら↓の動画で、おにぎりと海苔を区切りながらも、一枚のラップで巻ける方法を紹介していました。
とても手軽に出来るので、今後私も実践してみたいと思います!
夏場に菌を増やさない為の保管方法
夏場に菌を増やさない為の保管方法として、使用したものは次の通りです。
夏場は気温が高くなり、菌が増殖する高温の条件を満たします。
おにぎりを持ち運ぶ際、菌を増やさない為の保管方法として次のことに気を付けましょう。
- 保冷剤を入れた保冷バッグに入れる
- 保冷剤の結露がおにぎりに触れないようにする
- なるべく涼しい場所、屋外なら直射日光が当たらない日陰に置く
- 車内に置いたままにしない
おにぎりは必ず、保冷剤を入れた保冷バッグに入れます。
保冷剤は、結露の出にくい不織布タイプのものがおすすめですが、どちらにしても保冷剤の結露がおにぎりに触れないよう工夫しましょう。
お弁当を置く場所について、子どもが判断する場合などは、日陰に置くことを事前に伝えておくと良いですね。
保管方法などに関する詳細は、農林水産省「お弁当作りのよる食中毒を予防するために」をご覧ください。
さいごに
今回の検証実験では、5時間程度の保管でしたら、①「高温多湿の状況」でも、においや味に大きな変化なく食べることができました。
しかし、夏場は菌が増殖する高温多湿の状況下、安心して食べてもらう為にも細心の注意を払い、②「高温多湿を抑えた状況」でおにぎりを作り、保管するのが衛生的です。
以上のことを踏まえ、夏場は使い捨てできる「ポリエチレンラップ」と「アルミホイル」でおにぎりを包むことを、おすすめします。
今回使用した材質の他にも、おにぎり専用のアルミホイルや、おにぎりラップなど、おにぎりを包むのに特化した商品も数多く出ています。
気温の高い夏場も、安心しておにぎりを食べられるよう、参考になれば幸いです。