大谷石(おおやいし)に関する歴史や採掘方法について実際に見て学ぶなら、栃木県宇都宮市大谷町にある「大谷資料館」がおすすめです。
採掘の歴史に関する資料や、採掘用の機械や道具が展示されていて、実際に見て学ぶことができます。
最大の見どころは、地下を掘り進めることによってできた、大谷石の巨大地下空間である「地下採掘場跡」!
迫力満点の異空間体験と、実際に大谷石を見て触れることのできる「大谷資料館」は、小学生の自由研究にもおすすめの場所です。
今回は、大谷資料館「地下採掘場跡」の魅力だけでなく、「大谷石」についても詳しく紹介していきたいと思います。
栃木県宇都宮市大谷町にある【大谷資料館】を紹介!
大谷石(おおやいし)が採掘される栃木県宇都宮市大谷町に、地下採掘場跡が展示される「大谷資料館」があります。
大谷石は宇都宮市の中心から西北約8キロメートルの大谷町を中心に産出される凝灰岩のことで、産出される地名から通称「大谷石」と言われているそうです。
大谷石ってそんなに有名な石なの?
大谷石は、古くから建築用石材として使用されてきた石材で、「旧帝国ホテル」に使用されたことで有名になりました。
現在でも、大谷石の独特な風合いが人気で、内装材として住宅の一部に取り入れたり、様々な加工品として用いられるなど、名の知れた石材なんですよ。
そんな大谷石に関する歴史や採掘方法について実際に見て学びたいならここ!「大谷資料館」です。
資料館に入る前から、写真にように巨大な大谷石の壁が目の前に現れ、普段とは違う景色にワクワクが止まりません!
場所はこちら↓。
駐車場からは歩いて5分~10分程かかります。
大谷資料館には地下採掘場跡を始め、採掘の歴史に関する資料、採掘用の機械や道具が展示されています。
石の重さ比べでは、種類の異なる同じ大きさの石を持ち比べることができ、大谷石の軽さを実感できますよ。
開館時間や入場料金についてはこちら↓。
- 4月~11月/9:00~17:00(最終入館16:30まで)
- 12月~3月/9:30〜16:30(最終入館16:00まで)
- 4月~11月/無休
- 12月~3月/毎週火曜日休館(火曜日が祭日の場合翌日休館)
- 臨時休館の場合もあるそうなので、迷われる場合は電話で確認しましょう。
- 大人:800円
- 子供:400円(小・中学生)
- 未就学児:無料
※引用元:大谷資料館公式ホームページ
資料館の階段を降りると広がる、巨大地下空間!
階段を降り進んでいくと、そこにはライトアップされ何とも幻想的な巨大地下空間が広がっていました。
子どもたちは「マイクラの世界みたい!」と、ゲームの世界を彷彿とさせる異空間に大興奮していました。
地下採掘場跡についての詳しい説明はこちら↓。
大谷資料館の地下採掘場跡は、1919年(大正8年)から1986年(昭和61年)までの約70年をかけて、 大谷石を掘り出して出来た巨大な地下空間です。その広さは、2万平方メートル(140m×150m)にもおよび、野球場が一つ入ってしまう大きさです。 なお、坑内の年平均気温は8℃前後で、地下の大きな冷蔵庫といった感じです。 戦争中は地下の秘密工場として、戦後は政府米の貯蔵庫として利用され、現在では、コンサートや美術展、演劇場、 地下の教会として、また写真や映画のスタジオとしても注目を集めています。
※引用元:大谷資料館公式ホームページ/大谷石地下採掘場跡
通路が整備されているのでお子さんも安心して楽しめますが、立ち入りが禁止されている場所や、階段も多い為、お子さんから目を離さず必ず一緒に見学するようにしましょう。
なお、地下坑内への通路は階段のみなので、ベビーカーの利用はできません。
車椅子の方は、事前予約をすれば一部のエリアを見学することが可能なようです。(平日のみ)
詳細については、こちらをご確認ください。
坑内はライトアップされ幻想的な空間に…
採掘された後の石の壁には、機械や道具の跡が模様のようにきれいに残っています。
石の壁には照明が当てられ、大谷石の風合いや模様を楽しみながら見学できるのはもちろん、照明を利用して写真撮影を楽しむこともできます。
子どもたちも、石の壁に映し出される自分の影を見て、様々なポーズを決めていました。
入口の立て看板に「再入場はできません」との記載があったので、満足のいくまで地下空間を楽しんでくださいね。
地下採掘場跡では、無料で写真撮影もしてくれます。(6月に行った際の写真です。服装など参考にしてください。)
資料館の出入り口付近で、撮影してもらった写真を台紙付きで購入することもできますよ。
家族そろって写真を撮る機会がなかなかないので、とても嬉しいサービスでした。
続いて、大谷石について紹介していきたいと思います。
そもそも「大谷石」とは?岩石の種類
「大谷石」とは、栃木県宇都宮市大谷町付近で採掘される「堆積岩(たいせきがん)の一種、凝灰岩(ぎょうかいがん)」という種類の岩石です。
大谷石の詳しい説明について、大谷石材協同組合のホームページにこのように記載されています。
大谷石は、栃木県宇都宮市の中心から西北約8㎞の大谷町(旧城山村荒針)を中心に、東西約4㎞、南北に約6㎞にわたって分布しています。大谷町で産するところから通称大谷石といわれていますが、地質岩石学上の名称は「流紋岩質溶結凝灰岩」という凝灰岩の一種です。国内では他にも、いろいろな凝灰岩が採掘利用されている場所が複数ありますが、いずれも極めて小規模なもの。大谷は、古くから大規模に採掘が続けられている、世界的にもあまり例がない希少な場所です。その埋蔵量は約6億トンと推定され採掘箇所は200箇所(廃坑も含む)。そのうち現在稼働中のものは6箇所、年間約1万トン程度を出荷しています。一部露天掘りも行われていますが、大部分は地下採掘。地下数10メートルから100メートルの深い坑低で坑内堀を行っています。
引用元:大谷石材協同組合ホームページ「大谷石について」はじめに
「大谷石」っていう名前は、大谷町で産出されるからそう呼ばれているんだね!
そして、大谷石は凝灰岩(ぎょうかいがん)!
じゃあ、その凝灰岩っていうのは何なの?
凝灰岩(ぎょうかいがん)は、堆積岩(たいせきがん)の一種です。
堆積岩とは、海や湖の底にたまった土砂や火山灰、生物の(細かくなった)死がいが固まってできた岩石のこと
※参照元【さわにい】の理科サイト「堆積岩」より
堆積岩のでき方の図がこちら↓
川の上流から土砂や火山灰が運ばれて、海の底にたまって固められると「堆積岩」になるんですね。
「大谷石」は「堆積岩」の中でも「凝灰岩(ぎょうかいがん)」という種類に分類されます。
凝灰岩は、火山灰が積もって固まって出来た堆積岩のこと。火山灰が地上・湖・海に積もって石のように固くなると、凝灰岩になる
※参照元:【さわにい】の理科サイトより
日本列島の大半がまだ海中にあった新生代第三紀中新生の前半に、流紋岩質火山の噴火によって噴出した火山灰などが、海の中に堆積してできたそうです。
凝灰岩は更に何種類かに分けられますが、小学生の自由研究では、「大谷石」=「火山灰などが積もって固まった凝灰岩」と分かれば十分!
大谷石が通称であることも分かりましたね。
本で調べる場合は、目次に「地学」と記載されている本に詳細が載っています。
図書館の「理科」か「地球」コーナーにあるので、お子さんと一緒に探してみてくださいね。
「大谷石」の特徴
「大谷石」は岩石の中では最も軽く、柔らくて加工しやすく、耐火性・防湿性に優れていることが特徴です。
そして何といっても、ぬくもりを感じる素朴な美しさが最大の魅力ではないでしょうか。
代表的な特徴をまとめてみました。(▲部分をクリック!)
柔らかく加工しやすい
岩石の中では最も軽く、柔らかく加工しやすいのが特徴。戸建住宅などの内装材の一部として注目される。
優れた耐火性を持つ
旧帝国ホテルは、1923年関東大震災の大火災の中でも焼け残ったことから、大谷石の耐火性の高さが実証されたことで有名です。
天然ゼオライトを持つ
大谷石は天然ゼオライトを含有していて、多数のマイナスイオンと強い遠赤外線を放出しています。この天然ゼオライトにより、「癒し効果・熟成効果・消臭効果」が発揮されます。
優れた音響効果
コンクリートやガラスに比べると高い吸音率を有し、教会やレコーディングスタジオ、コンサート会場にも使用されています。
大谷石特有のミソ(穴)と、うっすら緑がかった石の色、素朴な風合いが最大の魅力!木材などの自然素材や、間接照明との相性も抜群で、モダンでおしゃれな空間になります。
が高い
多孔質で多くの空気を含むため、温度・湿度を一定に保つ調温・調湿効果がある。
大谷資料館の、坑内の年間平均気温は8℃前後だそうです。
我が家が行ったのは6月で、地上は半ソデで丁度良い位の気温でしたが、坑内は上着がないと肌寒い位でした。
建築用石材としての利用
大谷石は耐火性に優れ、柔らかく加工しやすい特徴から、古くから建築用石材として、また石塀・石仏・民芸品など幅広く利用されてきました。
大谷石を使用した有名な建物は次のようなものがあります。
- 旧帝国ホテル本館(愛知県犬山市の明治村に玄関部分だけ移築)
- 宇都宮市カトリック松が峰教会(国登録有形文化財)
- 兵庫県芦屋市ヨドコウ迎賓館(国指定重要文化財)
- 東部宇都宮線の南宇都宮駅
- 東部東上線のときわ台駅
中でも旧帝国ホテルは、1923年関東大震災の大火災の中でも焼け残ったことから、大谷石の耐火性の高さが実証されたことで有名です。
石塀や外壁材として使用されることもありますが、地上環境においては風化の速度が速いという弱点もあるため、近年では戸建住宅や店舗などの内装材の一部としての需要が注目されています。
大谷石の採掘方法。手掘りから機械掘りへ
採掘が本格的に始められた江戸時代の中頃から、機械化になる1960年(昭和35年)頃までは、ツルハシで手掘りをし、人が背中に石を背負って運んだそうです。
石を一本切り出すのにツルハシを4000回も振るい、1本150㎏もある石を「背負子(しょいこ)」を使って人が運び出したと記載があります。
採掘方法には2つの方法があります。
平場掘り | 垣根掘り |
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下に掘り下げる掘り方 | 横に掘っていく掘り方 |
石壁には横線の切りあと | 石壁には縦線の切りあと |
そして、採掘形態には「平場掘り」と「垣根掘り」を組み合わせた「露天掘り」「坑内掘り」があります。
露天掘り | 坑内掘り |
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地上に露出している部分を掘っていく形態 | 垣根掘りによって採掘の範囲が広がると、平場掘りで地下数10メートルから100メートルの坑内を堀っていく形態 |
1960年(昭和35年)頃、全採石場が機械化されたそうです。
見学後は、併設のカフェ&クラフトショップ「ROCK SIDE MARKET」へ!
大谷資料館を見学後は、併設のカフェで一息つくことができます。
外構や建物内のあちこちに大谷石が使われていて、石や木などの自然素材を基調としたインテリアが、なんともおしゃれなんです。
大谷石が、建築用石材や加工品として実際に使用されている様子を間近で見ることができるのも、「ROCK SIDE MARKET」の魅力の一つですね。
ジェラートや天然かき氷、パスタなどの食事まで、メニュー内容もとても充実していましたよ。
ショップには、大谷石のオリジナル商品や様々なクラフト雑貨が揃い、どれも魅力的で悩みましたが、我が家は大谷石のコースター2つとあかりろうそくを購入しました。
さいごに
「大谷石」の魅力を最大限に体感できる「大谷資料館」は、子どもも大人も楽しみながら見学することができました。
迫力満点の巨大地下空間の他、大谷石に関する歴史や採掘方法などの展示内容も充実しているので、お子さんが興味を持てば、「大谷石」の自由研究にうってつけの場所です。
参考にしてみてくださいね!