「お世話になっております」は、ビジネスメールや電話でほぼ毎日使う定番の挨拶です。
ただし、その便利さゆえに「いつ使えばいいの?」「初対面の人にも使うの?」といった疑問や、誤った使い方も少なくありません。
たとえば、初めて連絡する相手に「いつもお世話になっております」と書いてしまったり、社内の同僚に使って違和感を持たれたりするケースもあります。
この記事では、「お世話になっております」の意味や使い方、具体的な例文、注意点までわかりやすく解説します。
正しく使えば、信頼感や好印象を与える表現ですので、ぜひマスターしておきましょう。
「お世話になっております」の意味と成り立ち

「お世話になっております」は、相手との関係性や支援・協力に対する感謝や敬意を込めた挨拶表現です。
ビジネスメールや電話、面会の冒頭などで日常的に使われます。
● 文字通りの意味
- 「お世話」:手助け、配慮、便宜を図ること
- 「になっております」:相手からそのような恩恵を受けていることの丁寧な表現
つまり、「(日頃より)何かとお力添えいただき、ありがとうございます」といった意味合いになります。
● 実際の意味合いはもっと広い
実際には、相手との関係が直接的でなくても使えるのがポイントです。
「具体的に何かしてもらっていなくても、関係が続いている以上、感謝の気持ちを形式的に伝える」──これが日本語の敬語文化ならではの特徴です。
- 初対面の相手(同じ会社の別部署など)にも使える
- 特に世話になっていなくても、継続的な業務関係があれば使用してOK
「お世話になっております」を使う相手は?

「お世話になっております」はビジネスシーンでよく使われる定番の挨拶ですが、具体的に誰に対して使うのが適切なのでしょうか?
なんとなく使っている方も多いかもしれませんが、適切な使いどころを知っておくことで、より自然で丁寧な印象を与えることができます。
①社外の取引先・顧客(最も一般的)
- 既にやりとりがある相手
- 納品先・発注先・協力会社など
②初対面でも「会社単位」でつながっている人
- 担当者が変わったとき
- 担当外の部署に初連絡するとき
【例】
「初めてご連絡差し上げますが、〇〇様とは平素より弊社が業務上で関係しておりますので…」
→ 初対面でも「企業同士の関係」がある場合はOK。
③例外的に、社内の上司や同僚に使う場合
- 部署が大きく異なり、メールで初めて連絡する
- あらたまった社内文章(掲示文、社内依頼文)など
ただし、基本的に社内では使わないことが多いです。
→ 同じチームや日常的に顔を合わせる関係では「お世話になっております」は堅すぎます。
「お世話になっております」使う場面や例文・定型フレーズ集

「お世話になっております」を使った具体的な例文を、場面別に紹介します。
使う場面やタイミングごとまとめたので、以下で詳しく見ていきましょう。
✔ ビジネスメールの書き出し
株式会社○○ ●●様
平素より大変世話になっております。△△株式会社の××です。
→メールの最初の1文として、自己紹介に続けて使うのが一般的です。
株式会社○○ ●●様
突然にご連絡失礼いたします。△△株式会社の××です。
平素より、弊社が大変お世話になっております。
→自分と相手が初対面でも、企業間で関係があれば使用してOK。
株式会社○○ ●●様
いつもお世話になっております。△△株式会社の××です。
○○の件でご連絡差し上げました。
→挨拶のあと、要件へスムーズに入る流れ。
✔ 電話をかけたときの第一声
「お忙しい所恐れ入ります。△△株式会社の××です。いつもお世話になっております。」
→ 顔が見えないぶん、丁寧な挨拶で関係をスムーズにします。
✔ 名刺交換・対面あいさつの冒頭
「初めまして。△△株式会社の××と申します。いつもお世話になっております。」
初対面でも「御社とは何らかのつながりがある」場合には使えます。
名刺交換や商談の冒頭などで使用されます。
● メール締めくくりの一文と組み合わせて使う
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
引き続きお世話になりますが、何卒よろしくお願いいたします。
「お世話になっております」は冒頭の表現ですが、締めの一文とも響き合う構成にすると自然です。
「お世話になっております」使わない方がいい相手・状況

「お世話になっております」は便利な定型表現ですが、すべての相手や場面にふさわしいわけではありません。
丁寧なつもりで使っても、相手に違和感を与えたり、かえって不自然に聞こえてしまうケースもあります。
ここでは、「この場合は使わない方がいい」という具体的な相手や状況を紹介します。
使い方を見直すことで、よりスマートな印象を与えられるはずです。
相手・場面 | 理由・適切な表現 |
---|---|
初めての完全な新規顧客 | まだ「お世話」になっていないため。代わりに「初めてご連絡差し上げます」が適切。 |
社内の同僚や上司への日常的なやり取り | 社内の人、特に日常的に顔を合わせる相手には不自然で堅すぎ。メールなら「お疲れさまです」、チャットや口頭なら「おつかれさまです」「こんにちは」などでOK |
カジュアルな友人・知人 | ビジネス用の言葉なので不自然。「お疲れさまです」「こんにちは」など。 |
チャットやSNSでのフランクなやりとり | トーンにそぐわない。親しい関係なら「こんにちは」「お疲れさまです」で十分。ビジネス用途でも、チャットツールではカジュアルなトーンが好まれる |
「お世話になっております」類似表現との違い・言い換え表現

「お世話になっております」に似た挨拶表現は複数ありますが、使う場面や相手によって適切な表現を選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な言い換え表現とその使い分け方を紹介します。
● 「お疲れさまです」との違い
表現 | 主な使用相手 | 用途 |
---|---|---|
お世話になっております | 社外の取引先やお客様 | 感謝と敬意を込めた定型ビジネス挨拶 |
お疲れさまです | 社内の同僚や上司 | 労いや挨拶としてカジュアルに使える表現 |
● 「ご無沙汰しております」
「ご無沙汰しております。△△株式会社の××です。」
しばらく連絡していなかった相手に対しての挨拶として用いられます。
定期的なやりとりが途切れていた場合は、「お世話になっております」よりもこちらが自然です。
● 「いつもありがとうございます」
「いつもありがとうございます!よろしくお願いします。」
軽めのお礼や、チャット・SNSなどカジュアルなやり取りにも使えます。
親しみを込めたいときに便利です。
ただし、堅いビジネスメールでは軽すぎる印象になることも。
● 「平素よりお引き立てを賜り、誠にありがとうございます」
「平素より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。」
かしこまった案内文や、お礼状、営業メールなどで用いる表現です。
営業資料・お知らせ・謝罪文などでフォーマルさを出したいときに有効です。
シーン | おすすめ表現 |
---|---|
通常の社外メール | お世話になっております |
社内メール・チャット | お疲れさまです |
久しぶりの連絡 | ご無沙汰しております |
お礼や感謝を強調したいとき | いつもありがとうございます |
改まったビジネス文章 | 平素よりお引き立てを賜り、誠にありがとうございます |
まとめ:自然で好印象な「お世話になっております」の使い方とは?
「お世話になっております」は、社外とのやりとりに欠かせない定番の挨拶です。
ただし、初対面の相手や社内のやりとりなど、場面によっては不自然になることもあるため、使い方には注意が必要です。
要件とのつながりを意識しつつ、相手や状況に応じた表現を選ぶことで、より自然で好印象なコミュニケーションが実現できます。
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