2024年2月4日の立春に、「今期の御神渡りの出現は厳しい」と、「明けの海」宣言がされました。
ここ数年御神渡りの出現が叶わず、「最後にあったの、いつだっけ?」となってしまいますね。
2024年2月現在、諏訪湖の御神渡りが最後に見られたのは、2018年です。
2018年2月2日に御神渡りが確認され、2月5日に、拝観神事が執り行われました。
残念ながら、今年も御神渡りの出現が叶わなかったので、2018年の写真で御神渡りを振り返るとともに、近年の状況をまとめてみました。
「御神渡りってなんぞや?」という方も、是非ご覧ください。
2018年の御神渡りの様子
2018年2月9日午前10:30~11:00頃に撮影した御神渡りの写真です。(筆者撮影)
わぁ~これが御神渡り!幻想的できれいだな。
写真やテレビニュースで見たことはありましたが、実物を見たのは人生で初めてだったので、とても感動しました。
諏訪湖が全面結氷して、氷がせり上がり、一本の筋になっているのが分かります。
冬の澄んだ青空と全面結氷した諏訪湖、そして御神渡りの景色はとても美しく、神秘的でしたよ。
私が撮影した写真は、岡谷市湊にある「みなと保育園」あたりの湖畔から撮影したものです。
2018年は、岡谷市湊の「みなと保育園」近くに臨時駐車場が開設されていて、そちらを利用させていただきました。
湖の中への立ち入りはもちろん禁止され、規制ロープが張られていましたが、御神渡りを間近で見ることができましたよ。
30分程見ていましたが、氷がせり上がる場面や、氷がきしむ音を聞くこともでき、見応えがありました。
私が聞いた音に近かったYouTubeを見つけたので、載せておきます。
ピキピキと氷がきしむ音や、氷がせり上がる際の大きな音が聞こえますよね。
私が見た時は、せり上がった状態の氷が、よりせり上がるという場面でした。
氷が大きく動いたのが確認できましたよ。
「御神渡り」とは?
では、そもそも「御神渡り」とはなんなのでしょうか?
御神渡りに関して、岡谷市観光協会 長野県岡谷市観光情報サイト「旅たびおかや」の御神渡り紹介ページで、このように紹介されていました。
御神渡りとは?
諏訪湖独特の冬の自然現象で、湖が全面結氷し、その一部がせり上がり筋になる現象のことです。諏訪大社上社(諏訪市)の男神(建御名方命)が下社(下諏訪町)の女神(八坂刀売命)に会いに行った足跡であるとも言われています。
引用元:岡谷市観光協会 長野県岡谷市観光情報サイト「旅たびおかや」の御神渡り紹介ページ
「御神渡り」という名称の通り、「神様が渡った足跡」だったのですね。
冬の自然現象という捉えだけでなく、ロマンティックな神話として現代にも語り継がれていることに、より強い魅力を感じました。
「御神渡り」はどうしてできるの?
「御神渡り」のできる仕組みとして、次のように紹介されています。
なぜ御神渡りができるのか…
①氷点下10度前後の日が続くと、諏訪湖が全面結氷する。
引用元:岡谷市観光協会 長野県岡谷市観光情報サイト「旅たびおかや」の御神渡り紹介ページ
②この状態が続くと、厳しい夜の冷え込みにより氷が収縮し、表面に亀裂が入る。
③亀裂に湖水が入り込み、薄氷が出来る。
④周囲の氷が昼間の温度上昇により膨張し、圧力で薄氷が破壊され、せり上がる。
⑤これを繰り返し、せり上がりがだんだん大きくなり大音響と共に山脈のような御神渡りができる。
全面結氷した湖が、寒暖差による氷の収縮と膨張の繰り返しで、御神渡りができるのね!
じゃあ、そもそも諏訪地域がこんなに寒くなるのはなぜ?
諏訪地域が長野県内一寒い訳ではありません。
様々な条件が揃って諏訪湖は氷る訳ですが、氷点下10度前後まで下がる日もあるので、そりゃもう極寒です。
諏訪地域が寒い理由は、標高の高い内陸の盆地で、内陸性気候により放射冷却が強まるからです。
諏訪湖のある「諏訪盆地の地理」についてまとめました。
- 長野県の中部に位置し、県の中でも海から離れた地域の一つである
- 標高は750m~900mで、日本の盆地の中でも高所の一つ
- 盆地の中央(底)に諏訪湖がある。諏訪湖の標高は759m
- 周辺に八ヶ岳連峰や蓼科高原など1,000m~2,000m級の山々に囲まれている
以上のような諏訪盆地の地理が、極寒となる諏訪地域の冬の寒さにどのように影響しているのでしょうか。
ポイントをまとめました。
- そもそも標高の高い場所に位置しているので、気温が低い
- 周辺が標高の高い山々に囲まれた盆地で、冷気が溜まりやすい
- 内陸性気候により放射冷却が強まることで、気温が下がる
第一段階として、氷点下10度前後の日が3日程度続き、諏訪湖が全面結氷しないと御神渡りは出現しません。
今後に期待したいですね。
御神渡りの出現場所はどこで確認すればいい?
御神渡りの出現場所は、諏訪市観光協会/諏訪市観光ガイドや、諏訪湖周辺の案内板などで確認できます。
ただし注意事項にも記載されていますが、自然現象なので、その日によって場所は大きく変動します。
そこで当時の私は、こんなアナログな方法をとって出現場所を探しました(笑)
- 他の見物客に情報を聞く
- 諏訪湖を一周し、見物客の多い場所へ行く
この方法で、無事に御神渡りを拝めることができました。
SNSの情報が一番手っ取り早いですよね。
当時の私は利用していませんでした^^
近年の御神渡り状況
2018年以降の御神渡りの状況をまとめました。
2018年 | 2月2日「御神渡り」確認 ※1月31日全面結氷 ※2月5日拝観神事 |
2019年 | 2月3日「明けの海」宣言 |
2020年 | 2月3日「明けの海」宣言 |
2021年 | 2月3日「明けの海」宣言 ※1月13日と1月25日全面結氷 |
2022年 | 2月4日「明けの海」宣言 ※1月7日~23日までに9回全面結氷 |
2023年 | 2月4日「明けの海」宣言 |
2024年 | 2月4日「明けの海」宣言 |
氷点下10度前後の日が、3日程度続くことが、諏訪湖が全面結氷する条件!
2021年、2022年においては諏訪湖が全面結氷し御神渡りが期待されましたが、残念ながら出現しなかったという状況です。
さいごに
2024年現在、諏訪湖の御神渡りが最後に見られたのは、2018年でした。
2021年、2022年においては諏訪湖が全面結氷し御神渡りが期待されましたが、残念ながら出現しなかったという状況です。
6季連続で御神渡りの出現が叶わなかった事実を突きつけられると、2018年に拝むことができたのは、とても貴重な体験だったと実感します。
次回出現した際には、「御神渡り」という神秘的な自然現象を、語り継がれる神話と共に、子どもたちと共有したいです。